·ジャケット印刷無し
【製作国】: 日本
【監督】: 阪本順治
【出演/声の出演】: 黒木華、寛一郎、池松壮亮、真木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司
【言語 】: 日本語言語
【字幕 】:
【ディスク枚数】: 1枚組
日本公開日: 2023/04/28
【内容紹介】
おれは せかいでいちばん おまえがすきだ
【作品内容】
おきく、22歳。声を失ったけれど、恋をした。 彼に伝えたい言葉がある。 だから今日、どこまでも歩いて会いに行く。
つらく厳しい現実にくじけそうになりながら、それでも心を通わせることを諦めない若者たちを描く、愛おしい青春物語が誕生。
日本が世界の大きな渦に飲み込まれていった江戸末期。
寺子屋で子供たちに読み書きを教えているおきくは、ある雨の日、厠のひさしの下で雨宿りをしていた紙屑拾いの中次、下肥買いの矢亮と出会う。
武家育ちでありながら、今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事に就く中次と矢亮。
わびしく辛い人生を懸命に生きる三人は、やがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう――。
心を閉ざしたおきく、彼女に淡い思いを寄せる中次、そして過酷な世の中を糞くらえと笑い飛ばす矢亮――三人は共に青春を駆け抜け、果てしなく広がる“せかい”の輝きに触れる。
人情の温かさ、青春の光、生のきらめきが余韻と共に心に響く、至高の日本映画が誕生した。
【作品ポイント】
★日本映画界を長年にわたり牽引してきた阪本順治の監督30作目は、初のオリジナル脚本による時代もの。とはいっても、髷姿の侍たちが斬り合うような活劇ではない。社会の底辺を生き抜く庶民に目を向け、苦難に直面しながらもたくましく、したたかな彼らの姿を通し、〈人と人のぬくもり〉と〈いのちの巡り〉を映し出す。若者たちを中心に、その恋や青春を軽やかに描いた、阪本監督の新境地でもある。
★主人公のおきくには、『小さいおうち』(2014)でベルリン映画祭銀熊賞(女優賞)を受賞し、『小さいおうち』、『母と暮せば』(2015)、『浅田家!』(2020)で日本アカデミー賞助演女優賞に三度輝くなど、卓越した演技力で高い評価を得てきた黒木華。声を失い、中盤以降は台詞がないおきくの心の揺れを、手話がまだない時代の身振り手振りを通じ、繊細に表現した。
★偶然に出会い、下肥買いの相方となる中次と矢亮には、祖父に三國連太郎、父に佐藤浩市を持ち、『菊とギロチン』(2018)でのデビュー後はみずみずしい魅力を放ってきた寛一郎と、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017)、『宮本から君へ』(2019)、『ちょっと思い出しただけ』(2022)などの主演作で圧倒的な存在感を残してきた池松壮亮。
★また佐藤浩市、眞木蔵人、石橋蓮司ら、阪本作品に主演してきたベテラン俳優たちが長屋に集う人々に扮し、絶妙なアンサンブルを見せている。 モノクロ、スタンダードサイズの映像は鮮烈で、墨絵のように美しい。そこに暮らす人々の様子と、ときおり映し出される自然のさまざまな表情は、日常の、世界の美しさを伝え、観る人をぬくもりで包み込む。
★物語の背景には、糞尿を肥料として農業に用いるなど、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の最先端にあった江戸時代の日本の風景が重ねられている。日本を代表する美術監督であり、本作で企画・プロデュースを務めた原田満生は言う。「この映画で観る人の環境意識が変わるとは思わないが、こんな時代があったことを多くの人たちに、特に若い世代の人たちに知ってもらいたい」。
★第52回 ロッテルダム国際映画祭ビッグスクリーンコンペティション正式出品
【あらすじ】
江戸時代末期・江戸。
ある寺の厠の裏で、矢亮(池松壮亮)はたまった糞尿を柄杓ですくい、肥桶に注いでいる。江戸で糞尿を買い、肥料として農村に持ちかえる下肥買いの矢亮は、相方が病に臥せっており、今日はひとりだ。
その厠のひさしの下に、突然の雨を避けようと、大きな籠を抱えた男が駆け込んでくる。不要になった古紙を買い、問屋に売って暮らすその男は、紙屑買いの中次(寛一郎)。そしてその窮屈なひさしの下に、もうひとり走って入ってきたのが、寺子屋で子供たちに読み書きを教えているおきく(黒木華)だ。「ここをどいてくださいまし!」とおきくに追い立てられ、慌ててひさしの下から出ていく中次と矢亮。
3人の若者たちはこうして雨の日の厠の前で出会った。
中次は矢亮に誘われ、下肥買いの相方になり、ふたりで糞尿を買い歩いては、それを舟で矢亮の地元である葛西へ運ぶ。最下層の仕事に就く彼らは、ときに蔑みの目で見られるが、それでも明るさを忘れない。一方、武家育ちのおきくが暮らす長屋も、孫七(石橋蓮司)ら住人はみな貧しいが、その暮らしは人情味にあふれている。
長屋を担当することになった中次は、ある日、おきくの父・源兵衛(佐藤浩市)と厠で鉢合わせになる。「なあ、“せかい”って言葉、知ってるか。惚れた女ができたら言ってやんな、俺は“せかい”でいちばんお前が好きだって。これ以上の言い回しはねえんだよ」
そう言い残すと、源兵衛は侍たちと共に路地の向こうへ消えていく。そのあとを追い、長屋を駆け出ていくおきく。中次はふたりの背中を眺めるしかない。やがて侍に斬りつけられたおきくは、父と、自分の声を失ってしまう――。
【スタッフ】
脚本・監督:阪本順治
製作:近藤純代 企画・プロデューサー:原田満生 音楽:安川午朗 音楽プロデューサー:津島玄一
撮影:笠松則通 照明:杉本崇 録音:志満順一 美術:原田満生 美術プロデューサー:堀明元紀
装飾:極並浩史 小道具:井上充 編集:早野亮 VFX:西尾健太郎 衣装:大塚満
床山・メイク:山下みどり 結髪:松浦真理 マリン統括ディレクター:中村勝 助監督:小野寺昭洋
ラインプロデューサー:松田憲一良 バイオエコノミー監修:藤島義之 五十嵐圭日子
製作:FANTASIA Inc./YOIHI PROJECT 制作プロダクション:ACCA
配給:東京テアトル/U-NEXT/リトルモア
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